GREETINGS!


サリュテーション・コンソーシアム ニュースレター
1999年7月号

目次

会長からのメッセージ
サリュテーション・ニュース
マネージング・ディレクターより
サリュテーション・シナリオ
製品フォーカス
テクニカル・トーク
展望
イベント情報

会長からのメッセージ

変遷は、常に必然の結果を伴うものです。新しい者との出会いは、たいてい旧友との別れを意味します。

サリュテーション・コンソーシアム会長という立場に戻ることを光栄に思う一方、私にとってディック・オスターマン(Dick Osterman)氏の辞任は突然でした。オスターマン氏は3年以上にわたって会長を務め、今、IBMで新たな職務に挑もうとしています。オスターマン氏は、よちよち歩きだったコンソーシアムを、アーキテクチャ開発を経て、米国と日本市場の両方でサリュテーションを使ったオフィス製品が普及するまでに育て上げました。彼のリーダーシップは強力であり、コンソーシアムにとっては惜しまれるものですが、彼の新たなチャレンジの成功を祈りたいと思います。

今後の計画

7月のサリュテーション理事会では、サリュテーション・アーキテクチャの可能性を最大限に生かすルートを決定しました。まず、オペレーティング・システムやプロトコルを選ばない独立性をアピールします。市場での影響力を強めるため、ロイヤルティ・フリーの提供を増やし、JavaやLinuxに対応するとともに、IrDA、Bluetooth、WAPのサポートも確立する予定です。Windows CEおよびPalm OS向けサリュテーション-Liteプロジェクトも継続します。実績あるサリュテーション・テクノロジーは、オフィス空間で一層の成長を遂げ、モバイルおよびパーベイシブ・コンピューティング市場のニーズに応えていくことでしょう。

サリュテーション・コンソーシアムは、実装領域の縮小、新たなファンクショナル・ユニットの追加、メンバーシップの拡大によって、市場ニーズに応えるよう全力で取り組んでいます。読者の皆さまとぜひお知り合いになり、ヘテロジニアスなインフォメーション・インターワーキングという共通の目的に向かって協力し合う日を楽しみにしています。

ロバート・パスコ (Robert Pascoe)
サリュテーション・コンソーシアム会長
c/o IBM
10939 North Alpine Highway PMB 145
Highland, UT 84003
V 801-763-8216
F 801-763-7655
[email protected]

サリュテーション・ニュース

サリュテーション・コンソーシアム、新会長にロバート・パスコ氏を指名

よりよい情報交換のための技術を追求する非営利法人サリュテーション・コンソーシアムは、IBMおよびNovellで30年の経験を積んだロバート・パスコ(Robert Pascoe)氏を会長に指名しました。

1997年にIBMを退職していたパスコ氏は、今回の職務でIBMへの復帰に同意しました。同氏はサリュテーション・コンソーシアムの設立に貢献、1995年に初代会長を務めています。

コンソーシアムでの公式な役職を退いた後も、同氏は積極的にコンソーシアムにかかわり、戦略的および技術的な相談役に徹してきました。

コンソーシアムのマネージング・ディレクターであるロバート・ペコラ(Robert Pecora)氏は、「技術面およびビジネス面における長年の協力を考えれば、パスコ氏の指名は当然」と、述べています。

パスコ氏はIBMにおいて、パーベイシブ・コンピューティング、ストラテジー・アンド・ビジネス・デベロップメント担当で理事の春日広隆氏の部下となります。

春日氏は、次のように述べています。「パスコ氏を指名したのは、IBMおよびコンソーシアムとの積年のきずなを考慮すれば会長には彼しかいないという結論に達したからです」

パスコ氏はIBMとNovellで30年間勤務しており、ハードウェアおよびソフトウェア開発、製品プランニングおよびマネジメント、新ビジネス開発にかかわったほか、ダラス地域マルチメディア担当インターディビジョナル・テクニカル・リエゾン(Dallas Area Inter-divisional Technical Liaison for Multimedia)の経験もあります。

パスコ氏はまた、XtraWorX, LLCを設立、Windowsのデスクトップおよびラップトップでサリュテーション・アーキテクチャを使用可能とするPort-of-Entry製品を開発しました。

XtraWorXは、Windows CEおよびPalm OS向けにサリュテーション・マネージャの「Lite」バージョンも開発中です。

パスコ氏は、13の米国および国際特許を取得、IBM発明業績賞を9回も受賞しています。また、SigDoc、Federal Office Systems Expo、COMMON、COMDEX、Documation、CAPVentures Multifunction Conferenceなどの会議ではゲスト・プレゼンターを務めました。

サリュテーション・アーキテクチャ「Lite」化で、モバイルおよびハンドヘルド・デバイスの相互運用性をサポート

先月、サリュテーション・コンソーシアムは、米国コロラド州デンバーで開催されたWindows CE Developers Conferenceで、サリュテーション・マネージャLite(SLM Lite)アーキテクチャのプロトタイプを先行公開しました。プロトタイプ公開のねらいは、WinCE開発者からのフィードバックを得ることにより、限られた帯域幅とバッテリーの電源的制限を持つモバイル・デバイスを開発する上ですべてのニーズに応えているかどうかを確認することでした。サリュテーション・コンソーシアム会長のロバート・パスコ氏は、次のように述べています。「IrDA赤外線通信リンクを備えたハンドヘルドおよびパームサイズWinCEコンピュータは、SLM Liteにとって最適な環境です。これら新世代のデバイスは多様なコンピュータや周辺機器と情報を共有する必要がありますが、サリュテーションはオペレーティング・システムを選ばないため、SLM LiteはWinCE、Palm OS、Javaの他バージョンへも移植可能なのです。サリュテーションはネットワーキング・プロトコルについても特に条件がなく、SLM LiteはTCP/IPやBluetoothにも対応することになります」

サリュテーション、IrDAに働きかけ

"フットプリントを縮小"したサリュテーション・テクノロジーの機能限定バージョンであるサリュテーション-Liteプロジェクトは、もともとハンドヘルドおよびパームサイズ・デバイスをターゲットにしたもので、目下、順調な進歩を遂げています。このバージョンのサリュテーション・アーキテクチャは、赤外線データ協会(IrDA)プロトコル・スタックに実装するもので、コンソーシアムは現在、IrDAに対し緊密な協力関係を呼びかけています。

コンソーシアムは、6月に開催されたIrDAマーケティング・ミーティングに参加、サリュテーション-Liteプロジェクトを紹介して協力を求めました。その結果、サリュテーションとIrDAは会員リストを相互に補足し合うことに決定しました。サリュテーションはIrDAにかかわる技術的コミュニティにアプリケーション・ノートを提出し、IrDAスタックにおけるサリュテーション・テクノロジーのサポートを呼びかけることになります。

今後の進歩の状況については、常に皆さまにお知らせします。サリュテーションとBluetoothはサービス・ディスカバリの統一を目指しており、サリュテーション・コンソーシアムは今月、Bluetooth Special Interest Group(SIG)との継続的な提携事業について発表しました。提携の目的は、この2団体のサービス・ディスカバリ・テクノロジーを統合して同一の実装とし、ソフトウェア開発者が両環境で動作するアプリケーションを簡単に記述できるようにすることです。そのためサリュテーション・コンソーシアムは、Bluetooth SIGのソフトウェア・ワーキング・グループ内に編成されたサービス・ディスカバリ・タスクフォースに対してカウンセリングおよびガイダンスを続けています。

Bluetoothは、フォーム・ファクタが小さく、低コスト、かつ近接型の無線リンク向けテクノロジーで、モバイルPC、携帯電話、その他のポータブル・デバイスのためのテクノロジーです。

コンソーシアム会長であるロバート・パスコ氏は、次のように述べています。「サリュテーション・コンソーシアムは、通信プロトコル間に共通のサービス・ディスカバリ・テクノロジー開発に強く取り組んでいます。Bluetoothとの提携は、技術交換およびビジネス・ニーズ理解のよいきっかけとなりました」

Bluetoothサービス・ディスカバリ・タスクフォース議長 兼 IBMパーベイシブ・コンピューティング・テクノロジー・グループのシニア・ソフトウェア・エンジニアであるブレント・ミラー(Brent Miller)氏は、次のように述べています。「サリュテーションの技術をBluetoothの取り組みに加えることができたことをうれしく思います。サリュテーションの豊富な知識と協力のおかげで、サリュテーション・テクノロジーをいかにBluetooth通信スタックで活用するかを早々にお見せできそうです」この件については、2団体の共著による白書をコンソーシアムのSIGウェブページでご覧ください。

パスコ氏は、IrDAに実装されたサリュテーション-Liteプロジェクトが、Bluetoothを使用するデバイスにすぐにでも移植可能であることを明らかにしています。パスコ氏は「開発者は、両環境向けのアプリケーションを書く際にも、単一のサービス・ディスカバリ・インターフェースに対応すれば済むようになるだろう」と話しています。

マネージング・ディレクターより

話題を呼ぶサリュテーションのFind-and-Bind

サリュテーション・コンソーシアムは6月、米国デンバーで開催されたWindowsCE Developers Conferenceで商標化したスローガンFind-and-Bind?を発表しました。サリュテーションのブースでは、ひっきりなしに訪れる参加者が新スローガンの意味に親しむとともに、自社のアプリケーション、製品、サービスでいかにFind-and-Bindを活用できるかを探っていました。

各社の役員、マネージャ、設計者、プログラマは、パスコ氏や私とFind-and-Bind?だけでなく、サリュテーション・アーキテクチャ、サリュテーション-Lite、そしてジオグラフィック・コンピューティング一般から広がる多様な可能性について話し合いました。ブースを訪れた多数の参加者は、WindowsCEハンドヘルド環境向けのデバイス、アプリケーション、サービスを発見(Find)し、結びつける(Bind)というコンセプトに胸を躍らせていました。そもそもの概念さえつかめば、サリュテーションのFind-and-Bind機能が、参加者の自社製品やサービスの市場性を高め、顧客に多くの利点を提供できることは明らかだったのです。

ディスカバリ・メカニズムとケーパビリティ・エクスチェンジなしには実装できなかった多数のハンドヘルド・アプリケーションについて指摘した開発者もいました。そのようなアプリケーションは、ディスカバリ・メカニズムとケーパビリティ・エクスチェンジがないと所定のコネクティビティ・パラメータとデバイス特性しか発揮できません。この点で、開発者にもエンド・ユーザにもサービス・ディスカバリとケーパビリティ・エクスチェンジ・ソリューションを提供するサリュテーションのFind-and-Bind?アーキテクチャが人々を大いに魅了したのです。

プレスも絶賛したサリュテーション-Lite

サリュテーション・コンソーシアムは、ハンドヘルド・デバイス向けFind-and-Bind?のコンセプトを紹介するため、WindowsCE Developers Conferencesで、WindowsCEオペレーティング・システム向けサリュテーション-Liteプロトタイプを公開しました。デモンストレーションでは、WindowsCEデバイスがWindows 98コンピュータとの赤外線通信リンクを確立したあと、サリュテーション-LiteコードがWinSocketsによって接続を確立、WindowsCEベースのハンドヘルド・デバイスからPCアプリケーションへケーパビリティ情報を送りました。サリュテーション-Liteクエリーを通じてアプリケーションが情報を受け取るハンドヘルド・デバイスは3種類で、各ハンドヘルド・デバイスの動作環境、特性、ディスプレイ機能はまったく異なっています。現実の環境では、アプリケーションはケーパビリティ情報を使ってデバイス・タイプを認識し、もっと効果的にデバイスと通信することが可能です。このデモンストレーションで、開発者の皆さまにサリュテーション-Liteがアプリケーションやデバイスに提供する機能と柔軟性をすぐに理解していただけたと思います。

サリュテーション-Liteを使えば、一般的な機能群だけでなくWindowsCEハンドヘルド・デバイスの内蔵機能やケーパビリティすべてを最大限に活用できるアプリケーションを開発することができます。つまりサリュテーション-Liteの実演によって、ハンドヘルドおよびモバイル・デバイスに新たな方向が見えたのです。実際に動作するサリュテーション-Liteを見た開発者、プレス、業界アナリストの評価は、熱狂的といってもよいほどでした。

デベロッパーにビジネス・チャンス到来

デモンストレーションのあと、あるコンサルタントが、小売り情報を集めたデータ・リポジトリに買い物客がハンドヘルド・デバイスを使ってアクセスできるような大規模ショッピング・モールの採算性を評価してほしいという相談を最近受けたという経験談を披露しました。その調査についてコンサルタントが出した結論は、アプリケーションが客とうまく交信するためには、同じ特性を持つ同タイプのデバイスをショッピング・モールの入口で買い物客に渡さねばならないということでした。デバイスを貸し出し、また回収するという方法は現実には無理です。しかし、サリュテーション-Liteがあれば、買い物客が持って来るどんなタイプのハンドヘルド・デバイスにもクエリーを出せるようなアプリケーションを書くことができます。アプリケーションが各デバイスのケーパビリティを認識できるため、あらゆるハンドヘルド・デバイスに対応できるのです。サリュテーション-Liteを使えば、対応しようとするデバイスのケーパビリティ認識が難しい従来のアプリケーションのような制限はまったくありません。サリュテーション-Liteは、ジオグラフィック・コンピューティングとパーベイシブ・コンピューティングの可能性を大きく広げました。開発者は今や、多様なハンドヘルドおよびモバイル・デバイスの機能を最大限に活用する製品を設計できるのです。

サリュテーション-Liteのさまざまな用途については、サリュテーションのウェブサイトに公開されているジオグラフィック・コンピューティング白書をご覧ください。

サリュテーション・シナリオ

サリュテーション-Liteとジオグラフィック・コンピューティング

休暇でワシントンDCを観光中のビルは、地下鉄から降りてキャピタル・モールへやって来ました。路上の売り子をつかまえ、観光地図を手に入れます。地図を広げてじっくりと目を通し、裏までながめてお目当ての場所を探します。「さあて、スミソニアン博物館はどこかな?」と、つぶやくこと数分、ビルはスミソニアン博物館を地図に見つけました。地図をあっちへ向けたりこっちへ向けたり、穴の開くほど見つめて、やっと現在位置からの道を見つけます。今度は地図をきれいにたたもうとあれこれ苦心しましたが、結局、2か所も破ったあげく、丸めてバックパックに詰め込みました。自信たっぷりに目的地へと歩き出しましたが、まるで方向が違います。

数ブロックも歩いたあと、ビルはついにスミソニアン博物館へたどりつけないことを悟ります。またバックパックを開け、地図を探しました。カメラを出し、日焼け止めを出し、替えのソックスを出し、あれこれ出してから、やっと叫びました。「サンドイッチの下にあったのか!」地図を引っ張り出してケチャップをぬぐい、今度は真中で破いてから、もう一度スミソニアン博物館への道を探します。

一方、ハイテク・ツーリストのジェーンも同じ地下鉄から降りて来ました。ビルと同じく休暇中で観光がお目当てですが、古臭い地図に時間を費やすことはしません。ジェーンは、ワシントンDCツーリスト・インフォメーション・オフィスの赤外線ポートがモール周辺の各公衆電話に取り付けてあることを知っていますから、すぐさま公衆電話に向かいます。電話のそばで、ジェーンはハンドバッグから自分の赤外線ポート付きハンドヘルド・コンピュータ(HPC)を取り出しました。HPCの電源を入れ、公衆電話の赤外線ポートに向けます。すると、自動的にモール周辺の建物や記念碑についての情報がコンピュータにダウンロードされました。

ダウンロードが終わると、HPCの画面に地図が現れました。そこには、彼女の現在位置と、スミソニアン博物館をはじめ観光名所の数々の位置が示されています。スミソニアン博物館をクリックすると、画面はすぐにその部分のズームアップに変わり、博物館への最短ルートを表示しました。そして、示された方向へ歩くと、まもなく建物の前に着きました。今度は、HPC画面のインフォメーション・ボタンをクリックします。すると、スミソニアン博物館の建物の説明とともにその歴史がディスプレイに現れました。

「なるほどね」と、彼女は読みながら独り言を言いました。正面入口を入ると、また赤外線ポートがありました。HPCをポートに向けると、瞬時にして博物館の全展示の中からハイライトが地図や詳細な説明、写真付きでダウンロードされました。彼女は、お目当ての展示へと歩き始めます。

展示を見終わると、外へ出て同じことを繰り返します。「今度は航空博物館を見ようかしら」

ジェーンのHPCには、サリュテーション-Liteが組み込まれています。だから、ツーリスト・インフォメーション・オフィスもスミソニアン博物館も、彼女のハンドヘルド・デバイスの特性を認識し、それによって観光情報をデバイスのフォーマットに変換することができたのです。このテクニックを使えば、多様なハンドヘルド・デバイスに対応できます。メーカー、オペレーティング・システム、ディスプレイの色やサイズに関する特性は関係がありません。すべて、サリュテーション・テクノロジーが認識して適切な情報をダウンロードするのです。このテクノロジーは、PalmおよびWindows CEデバイス、一部のハイエンドなポケットベルにも適用できます。

このシナリオに登場する最も優れた機能の1つは、常に最新の情報を入手できることです。たとえば、スミソニアン博物館の展示が変われば、情報も自動的、電子的にアップデートされます。従来のように、パンフレットが古くなるたびに新しいパンフレットを印刷するという割高な手間がなくなるのです。

製品フォーカス

ムラテックF-120/SL大容量普通紙ファクス

ムラテック・アメリカは、受賞歴を誇る製品ラインを拡張、サリュテーションを使用した初のファクス機、ムラテックSM-100サリュテーション・ファクス・サーバー・ソフトウェア搭載ムラテックF-120/SLを発売しました。また、ムラテック製品を使ってネットワーク・ファクス、文書管理、スキャン、分散印刷が可能な統合システムも提供しています。

ムラテックの新F-120/SL多機能ファクスは、サリュテーション・インターフェースによって、その600dpi印刷、400dpiスキャンというケーパビリティをネットワーク上のほかのPCでも使用可能にします。また、F-120/SLとSM-100は、Lotus Notesベースのオフィス・ワーキンググループ・システムであるIBM NuOfficeソフトウェアによってサポートされています。F-120/SLは、ムラテックのSM-100サーバー・ソフトウェアを動作するサリュテーション・サーバーPCを通じてネットワーク上のPCと通信します。

サリュテーション・プロトコルによるケーパビリティ共有のほか、ムラテックのサリュテーション・ファクス・サーバー・ソフトウェアは、Lotus Notesを基礎とする個人アドレス宛て送信、読み取り確認、データベース文書管理など高度なファクスおよび文書管理機能を備えています。

F-120は、ムラテック独自の32ビット・ファクスRISC?マイクロプロセッサとQuadAccess?性能によって強化されており、4つ以上のタスクを減速なく同時に実行することができます。スタンドアロン・ファクスとしては、6秒のファクス伝送速度、1.7秒のクイック・スキャン、ファクスおよびコピーの600dpi普通紙出力、最大718ページまで拡張可能な内部メモリなど、大容量通信機能を備えています。

テクニカル・トーク

サリュテーション-Lite

サリュテーション・コンソーシアムは、サリュテーション・アーキテクチャを最大限に活用してパーベイシブ・コンピューティングのニーズに応えるサービス・ディスカバリを提供するという目標に向かって、急速に進歩を遂げてきました。そして今、サリュテーション・アーキテクチャを利用したオフィス・オートメーション製品を出荷する一方、パーベイシブ・コンピューティングの分野をさらに拡大しようとしています。

ディスプレイと動作環境ケーパビリティを表すファンクショナル・ユニットを増やす必要性は以前からありました。低帯域幅ネットワークやバッテリー電源デバイスに特有のニーズもあります。無線プロトコルのサポートも重要です。そして、これらの長所を小さなパッケージにすべて収めたとして、今度は実装のフットプリントを小さくしなければならないという必要性が出てきたのです。

1999年6月のWindows CE Developer's Conference(開催地:コロラド州デンバー)で発表されたサリュテーション-Liteプロジェクトは、アーキテクチャ面で求められる変更を加えたプロトタイプであり、必要条件を満たしたアーキテクチャが多様なオペレーティング・システム・プラットフォームに実装できることを実証しました。かつて成功したように、サリュテーション・コンソーシアムは再びプロトタイプ・コードへのロイヤルティ・フリー・アクセスを提供する予定です。

動作環境ファンクショナル・ユニット

動作環境ファンクショナル・ユニットは、ハンドヘルドまたはパームサイズ・デバイスのオペレーティング・システム、プロセッサ・タイプ、デバイス・クラス、使用可能メモリの量、入出力特性を認識する手段となります。この情報を使って、サーバーはその環境に合ったアプリケーションを送信、インストールすることができるのです。

ディスプレイ・ファンクショナル・ユニット

ディスプレイ・ファンクショナル・ユニットにより、サービス・プロバイダは、ハンドヘルドまたはパームサイズ・コンピュータ、その他のユービキタス・コンピューティング・デバイスにおけるディスプレイのケーパビリティを認識できます。サービスは、ディスプレイが色彩や画像をサポートするかどうか、またディスプレイのフットプリントやピクセル密度も認識します。この情報を使って、ディスプレイのケーパビリティに合うよう情報をフォーマットするのです。確かにディスプレイ・ファンクショナル・ユニットには他の用途もあります。たとえば、プリンタ、ファクス機、多機能デバイスなどのディスプレイ・ケーパビリティを認識して、インフォメーション・サーバーがそのデバイスのユーザーと効果的にコミュニケーションをとるのに必要なデータを提供することもできます。

限られた帯域幅と電力

IRや、限られた距離範囲での利用が計画されている無線Bluetoothネットワークなどの低帯域幅ネットワークは、ネットワークを通じてエンティティ間を転送するデータ量に敏感です。ネットワーク内の全デバイスに対して限られた帯域幅の限界内で収めるためには、データ・トラフィックは最低限に抑えなければなりません。サービスおよびケーパビリティ・ディスカバリなどのポーリング動作においては、クライアントが各デバイスのケーパビリティを質問しなければならないこともあるため、このことは非常に重要です。

このタイプのネットワークをターゲットとした多くのデバイスは、バッテリーを電源としています。ここでも、サービスおよびケーパビリティ・ディスカバリなどの機能のデータ・トラフィックを抑えれば、バッテリー寿命を他のトランザクションにとっておくことができます。

サリュテーション-Liteを使えば、サリュテーション・ディスカバリ・プロトコルを調整して、サリュテーション・ケーパビリティ・エクスチェンジ・プロトコルのシーケンス中で交換されるデータ量を減らすことができます。つまり、ケーパビリティ・エクスチェンジ・コールに対して生成される応答のタイプを指定する方式を提供するのです。クエリー・ケーパビリティ・コールに対する応答タイプには、3種類が提案されています。

マキシマム

マキシマム・クエリー・ケーパビリティ応答は、現在のアーキテクチャで定義されているものです。応答となるサービス・デスクリプション・レコードには、一致する要求ファンクショナル・ユニット・デスクリプション・レコードと、登録ファンクショナル・ユニット・デスクリプション・レコードの和集合が含まれます。

ノミナル

ノミナル・クエリー・ケーパビリティ応答では、応答となるサービス・デスクリプション・レコードに要求されたファンクショナル・ユニット・デスクリプション・レコードのコピーが含まれます。レコードのファンクショナル・ユニット・ハンドルは登録ファンクショナル・ユニットのハンドルに固定されています。

ミニマム

ミニマム・クエリー・ケーパビリティ応答では、応答となるサービス・デスクリプション・レコードに、一致する登録ファンクショナル・ユニットのファンクショナル・ユニットIDとファンクショナル・ユニット・ハンドルだけが含まれます。

無線プロトコルのサポート

サリュテーション-Liteは、赤外線データ協会(IrDA)の赤外線プロトコルをモデルとしています。IrDAを使うことで、サリュテーション-Liteは、3ComのPalmデバイスとそれに派生するデバイス、WinCEハンドヘルドPC(HPC)およびパームサイズPC(PPC)、さまざまな携帯電話、ポケットベル、ラップトップなど無数のデバイスに対応しています。Windows環境では、サリュテーション-LiteはWinSockコールを使ってIrDAにアクセスします。このハイレベル・インターフェースのおかげで、サリュテーション-LiteはTCP/IPや計画中のBluetoothプロトコルなど他のプロトコルにもすぐに移植が可能となるでしょう。

サリュテーション-Liteは、赤外線データ協会(IrDA)の赤外線プロトコルをモデルとしています。IrDAを使うことで、サリュテーション-Liteは、3ComのPalmデバイスとそれに派生するデバイス、WinCEハンドヘルドPC(HPC)およびパームサイズPC(PPC)、さまざまな携帯電話、ポケットベル、ラップトップなど無数のデバイスに対応しています。Windows環境では、サリュテーション-LiteはWinSockコールを使ってIrDAにアクセスします。このハイレベル・インターフェースのおかげで、サリュテーション-LiteはTCP/IPや計画中のBluetoothプロトコルなど他のプロトコルにもすぐに移植が可能となるでしょう。

フットプリント

サリュテーション-Liteの限界関数をサービス・ディスカバリに限定すると、コード・サイズが低減され、それによってサリュテーション-Lite実装に必要な記憶容量も大幅に低減されます。コンソーシアムは、サリュテーション-Liteのサービス・ディスカバリ関数が業界最小と自負しています。オペレーティング・システムやプロトコルを選ばない独立性も考えれば、サリュテーション-Liteはあらゆるパーベイシブ・コンピューティング環境に共通のサービス・ディスカバリ実装となります。

注:サリュテーション-Liteについて詳しくは、サリュテーション-Lite白書(http://www.salutation.org/whitepaper/sal-lite.pdf.)をご覧ください。

展望

IrDA対Bluetooth:補い合う存在

(著作権1999 Counterpoint Systems Foundry。当記事の抜粋をCounterpoint Systems Foundryウェブサイトの許可を得て複製しました。記事全体はhttp://www.countersys.com/tech/bluetooth.htmlに公開されています。)

一見、IrDAとBluetoothテクノロジーは市場で競合するかのように思えます。両方とも近接型の無線コネクティビティということで、業界アナリストは両テクノロジーの共存に対して、あからさまに疑念を示してきました。しかし、各テクノロジーの利点をよく比べてみると、BluetoothとIrDAは両方が市場になくてはならないものなのです。どちらのテクノロジーにも長所と短所があり、片方ではすべてのユーザーのニーズに応えることはできません。それどころか、BluetoothとIrDAはともに近接型無線の物語における強力な主人公なのです…。

IrDAは、2点間を結ぶ、鋭角(30°円錐形)の臨時データ伝送規格で、距離0-1メートル、速度9600bpsから16Mbpsの範囲で動作するよう設計されています…。世界に設置されたIrDAの基地局は5,000万ユニットを超え、なお年々40%増加しており、パソコン、ペリフェラル、組み込み型システム、その他各種デバイスで広く普及しています…。

Bluetoothは、計画中の無線周波数(RF)仕様で、1点と複数点を結ぶ、近接型の音声およびデータ伝送に使用します。また、非金属の固体は透過可能です。定格リンク・レンジは10cmから10mですが、伝送力を増強すれば100mまで延長可能です。Bluetoothは低価格の近接型無線リンクを基本とし、据え置きおよびモバイル通信環境における臨時接続を容易にします…。2.45GHz周波数幅でのユニバーサルな無線インターフェースとして、Ericsson、Nokia、IBM、東芝、Intel、その他メーカー多数に支持されています…。

重なり合うIrDAとBluetoothの応用範囲

BluetoothとIrDAの応用分野は、重なり合います。IrDA向けに規定された用途の多くは、Bluetooth向けでもあります。それでも、IrDAがBluetoothよりデータ伝送に適している状況や条件もあれば、その逆もあります…。

データのやり取りでよく起こる状況は、1室に多数のデバイスがある場合です…。近接型で鋭角のIrDAなら、ユーザーがデータを受信させる機器に方向を定め、狙い打ちすることができます…。IrDAの限られた距離と角度のおかげで、他の機器は妨害されることなく動作を続行します。近接型で鋭角のIrDAは、単純な形でセキュリティを確保でき、使いやすさも抜群です。

同じ状況は、Bluetoothにとっては不利です。他方向型のBluetoothは目的の受信機器をなかなか見つけることができません。ユーザーが単に目標を定めるのではなく、Bluetoothデバイスが、時間をかけて部屋にある多数のデバイスから目標を探し出さねばならないからです…。

ほかの状況では、Bluetoothがだんぜん有利です。Bluetoothの固体透過性、ピコネット内での移動の自由性のおかげで、IrDAでは非常に困難か不可能な状況でもデータのやり取りが可能だからです。たとえば、Bluetoothではポケットやハンドバッグから電話を取り出すことなく(IrDAでは不可能)電話とPCを同期化することもできます。多方向性を持つBluetoothでは、PCの範囲内に電話を持って来るだけで同期化が始まります。電話を1か所に固定する必要もありません…。IrDAなら、同期化中、電話は適切な場所にじっと置いておかなければならないでしょう。

LAN アクセス

BluetoothとIrDAに共通の重要な特長は、デバイスを有線ネットワークに無線で接続できる点です。Bluetoothデバイスには、データを送るデバイスまで見通せる必要性がなく、このタイプの用途には最適といえます。BluetoothではIrDAに比べ、建物内にかなり自由にLANのアクセス・ポイントを設置できます。また、複数点への送信が可能なため、複数のデバイスで効率よくメディアを共有できます。BluetoothがIrDAより不利となりうる点は、その性能です。Bluetoothの総帯域幅は1Mbpsが限界ですが、IrDAは4Mbps、さらに16Mbpsも開発中なのです…。IrDAの見通し必要性と最大1メートルという距離制限は、IrLANアクセス・デバイスを配置する上で考慮しなければなりません。また、IrDAデバイスをいったんLANに接続したら、比較的固定しておく必要があります…。

音声アプリケーション

Bluetooth仕様そもそもの特長に、同期音声チャネルがあります。Bluetoothには、デジタル音声データを送るための帯域幅を確保する能力があるのです。Bluetoothは、ピコネット内で最大3つの同時的かつ完全に双方向的な会話をサポートします…。IrDAリンクを使って完全な双方向的音声データを伝送するための仕様であるRTCONでは、115.2kbpsのIrDAリンク帯域幅をフルに多重使用するため、他のデータはまったく入るすきがありません…。

セキュリティ問題

IrDAの方向特性は、送信側と受信側の間が直接見通せる必要があるため低レベルのセキュリティがかかっているといえます。しかし、反射光を探知して周辺ノイズを除去すれば会話の立ち聞きは可能です。IrDAにはBluetoothのようなリンク・レベルでのセキュリティ機能がないのです。IrDAで認証や暗号化を提供するには、より高いレベルのプロトコルやアプリケーションを使用するほかありません。

Bluetoothは多方向的ですから、隠れた場所を含めあらゆる方向から盗聴器でデータを傍受される恐れがあります。Bluetoothは帯域幅プロトコルに認証と暗号化を用いることで、この問題に対応しています…。

まとめ

IrDAとBluetoothテクノロジーは、データの送受信および音声アプリケーションの実現において互いに補い合う関係にあります。BluetoothとIrDA両方を持つことで最高の近接型無線ソリューションとなるデバイスもあります。また、アプリケーションや意図する用途によって、BluetoothかIrDAを選ぶデバイスもあるでしょう。近接型無線通信テクノロジーの物語はまだまだ進行中であり、IrDAとBluetoothがこの分野を引っ張る主人公であることは間違いありません。

編集者注:プロトコルを選ばない独立性により、サリュテーション・テクノロジーはIrDAとBluetoothプロトコルの両方に適応します。実際、「テクニカル・トーク」で説明したサリュテーション-Liteプロジェクトは、すぐにでもBluetoothプラットフォームに移植可能です。サリュテーションは、デバイスがサポートする無線テクノロジーに関係なく単一のサービス・ディスカバリ・プロトコルを特長としています。

 イベント情報 

Fax Directions/Messaging World '99

NetWorld+Interop

詳細は、サリュテーションのWebサイト(www.salutation.org)をご参照ください。