サリュテーション-Liteによるナビゲーション

休暇にワシントンDCの観光旅行としゃれこんだビルは、地下鉄の駅からキャピタルモールに出てきました。まずは街角のスタンドで観光地図を購入。地図を広げ、ためつすがめつ眺めて、おもしろそうなところを探します。「さてスミソニアン博物館はどこかな?」しばらく探して、やっと地図の上に見つけました。しかし、ここからどうやって行けばよいのか、また地図を横にしたり縦にしたりしてにらめっこです。調べ終わってからも一苦労、なかなかうまく折りたためず、二箇所ほど破ったあげくに、ぐしゃぐしゃにしたままリュックに放り込みました。行き先は確かなはずなのに、ビルは間違った方向に歩み出しました。

「これではスミソニアンにたどりつけない」と気づいた時には、数ブロックを過ぎていました。そこでリュックを開き、地図を探します。カメラを取り出し、日焼け止め剤も取り出し、靴下やその他もろもろのものをかき分けて、やっとサンドイッチの下になった地図を見つけました。リュックから引き出し、ケチャップの汚れをぬぐって広げた地図ですが、無残にも折り目に沿って破れています。ともあれ、スミソニアンへの道をもう一度確かめなければなりません。

ビルの苦闘が続く中、ハイテクで身を固めたジェーンが同じ地下鉄の駅から現れました。ビルと同様、ジェーンも休暇を利用して観光にやってきたところです。しかし、彼女は古い地図で時間を浪費するようなことはせず、まっすぐ公衆電話ボックスに向かいます。ワシントンDCの観光協会がモール沿いのすべての電話ボックスに赤外線ポートを装備したことを知っているからです。ボックスに入ったジェーンは、バッグからハンドヘルド・コンピュータ(HPC)を取り出します。これは赤外線ポートを搭載したHPCです。HPCをオンにして、公衆電話の赤外線ポートに近づけると、モール沿いの建造物や記念物に関する情報が瞬時のうちにHPCにダウンロードされます。

ダウンロードが完了すると、HPCの画面には地図が現れます。地図にはジェーンの現在の位置といろいろな見どころが示されています。もちろんスミソニアンも表示されています。スミソニアンをクリックすると、現在地からスミソニアンまでの最短のルートが示されます。ルートに従って歩いていくと、すぐに博物館の前にたどり着きました。HPCの画面のインフォメーション・ボタンをクリックすると、今度はスミソニアンの特徴とその歴史的背景が表示されました。

「おもしろそうだわ。」画面を読んだジェーンは思わずこうつぶやきます。正面のドアを通り抜けたところ、ここにも赤外線ポートがあります。HPCをそのポートに向けると、すべての展示物に関する情報が一瞬のうちにダウンロードされます。地図と詳しい説明に加え、画像も表示されています。ジェーンの興味を引くものもたくさんあるようです。

館内を探訪し終わったジェーンは、モールへ出ると、次のナビゲーションを開始します。「じゃあ、今度は航空宇宙博物館だわ。」

ジェーンのHPCにはサリュテーション-Liteが搭載されています。観光協会とスミソニアン博物館はサリュテーション-Liteを通じてハンドヘルド・デバイスのタイプを判別し、そのデバイスに適したフォーマットの情報を提供します。このテクニックにより、幅広い範囲のハンドヘルド・デバイスをサポートできるようになります。デバイス・メーカー、OS、ディスプレイのサイズやカラーは問いません。デバイスの特性はすべてサリュテーション・テクノロジーによって判別され、それぞれに適した情報がダウンロードされます。このテクノロジーはPalmやWindows CEデバイスはもちろん、ハイエンドのポケベルにも対応しています。

この方式の利点の一つは、常に最新の情報を提供できることです。たとえば、スミソニアンの場合、展示物が変われば、情報は自動的に更新されます。このため、情報が古くなってもそのつど新しいパンフレットを作成する必要がなく、コストを節約できます。